《第3回ゆうメイト全国交流会レジュメ》 2006年10月8日
民営・分社化と今後のゆうメイト
報告 ゆうメイト全国交流会事務局・稲岡
1 まず、私たちの仕事を考えてみよう
★郵政事業全体の仕事の意義 → 地域とのつながり、安全・安心の拠点
ユニバーサルサービス、地域の情報発信
高齢化社会への対応 等々
⇒ 労働条件が保証されてこそ可能 ⇒ 現状のままでは困難
⇒ 民営化後郵政事業の信頼も揺らぐ?
★民営化論議での労働者攻撃の少なさ。
★国鉄民営化時におけるすさまじい国鉄労働者攻撃。
⇒ 郵政労働者が地域と結びついた仕事をしてきた(直接的なつながり)。
★受箱配達と対面配達の分離は、地域との結びつきも解体していく。
⇒ 営業のみのつながりは、地域の信頼を得ることはできない。
⇒ 厳しい労働条件(要員不足が主な原因)で、当局が望む営業もできない状況
⇒ ゆうメイトの劣悪な雇用と労働条件→職場に定着困難
→郵政事業の貴重な財産、地域に精通することが困難になる。
2 非正規雇用の問題を考えよう
★企業にとってのみおいしい雇用形態(非常勤・派遣)
★04年度で週35時間未満労働者 1,200万人
★ゆうメイト 05年度で 約117,000人(8時間ベース)実数16万人以上?
郵便事業だけでは人数で常勤職員を上回る(時間数ではほぼ同じ)
常勤職員 114,158人
★格差社会 ⇒ 正規雇用と比べ、低賃金・各種社会保障の格差(病休補償等)
★賃金格差 ⇒ 郵政では新評価システムの導入で地域・職種また内務、外務の差など
各自ばらつきがあるが、ゆうメイト交流会のアンケートでは、
平均時給1,000円弱
8時間雇用が増えているが平均週40時間に足らず35時間程度月に
15万円弱 年間200万円以下
※ホームページへの回答は郵便外務も多く、全体を平均すればもっと
少なくなる可能性大
※本務者は年間で平均約620万円(05年10月)
★企業内での労働者間に処遇の格差 ⇒ 支配の強化にも結びつく
3 格差社会、リストラ、評価主義も考えてみよう
★企業論理 ⇒ 会社あっての生活。企業が儲けなければ生活保障もない。
→文句も言わず会社に奉仕→会社を守るためには国も守れ
★本来は、人間のために企業活動が必要、今は会社のための人間。逆転している。
★賃金は生活できる賃金でなければならない。
→それが保障できないなら企業責任・国の責任の放棄。
★社会の枠から落ちる者は切り捨てていく社会
★差別されているゆうメイト間でも対立
⇒ 能力の差異は認め合うことが大切。
⇒ 競争ではなく、平等。
4 ゆうメイトの置かれている現状と問題点を考えよう
★当局の一方的な「雇い止め」=解雇
★低賃金 ⇒ ゆうメイト賃金で生活できない。
★労働強化(人減らし)⇒ 超勤をけちることにより、より一層の労働強化。
★スキル評価の問題点 ⇒ 管理者の恣意的な評価
★パワハラ・セクハラ
★営業ノルマの強要
★本務者の本工主義 ⇒ ゆうメイトに対する抑圧的対応等
5 民営化(07年10月)に向け求めよう
★民営化時における完全な雇用承継
⇒ 公社は新会社でもゆうメイトは必要であり雇用の継続に配慮すると言って
いるが、完全な雇用承継となっていない。
⇒ 無条件で最低現状の雇用条件(賃金額等)での雇用承継
★評価制度の見直し
⇒ 管理者の勝手な判断という批判が多い。
⇒ 全面改正が必要だが、当面、誰でもが納得できる評価基準が必要
→通区数、担務数のみでのランク
→通区・担務習得の機会の平等(本人希望による)
→事故(誤配等)について本人責任が明確な場合のみ回数を儲けた評価対象。
⇒ キャリアスタッフ→Aランク習熟度ありの全員対象
★苦情処理制度の活用
⇒ 納得できない評価には、苦情相談を活用し当局追及
⇒ 組合加入を求め、苦情処理共同会議も活用する。
★第二次非常勤本務化闘争?も必要
⇒ 60年頃、経済の成長に伴う大量非常勤採用に、かつての全逓が「非常勤本
務化闘を展開し、2万人近くの本務化を勝ち取る(当時の非常勤ほぼ全員)。
⇒ 当時と今は逆(低成長時代の非正規化)
→しかし、労働者の生活に変わりはなく、本務化要求は必要。
6 民営化のスケジュール(非常勤雇用関係)
★「民営・分社化後の雇用を約束するものではありません」と明記されている。
☆07年2月 ⇒ 「新会社と労働契約を締結するための手続」
「休暇やスキルレベルなどの労働条件の取扱い」等の概要周知
☆07年3月末 ⇒ 予定雇用期間満了
☆07年4月 ⇒ 採用、予定雇用期間は、長くても07年9月末まで
☆07年6月〜7月
⇒ 募集 対象 4月以降引き続いて働いている方
10月以降新たに働いていただくことを希望する方
申込 上記対象者 申込方法に従って申込
☆07年8月 ⇒ 退職予告→9月末に予定雇用期間満了
採用通知→採用決定者に通知
☆07年9月末 ⇒ 予定雇用期間満了・退職
☆07年10月 ⇒ 採用
7 民営化でどう変わる?
★賃金(スキルレベル)、年休は、引き継ぐことで検討。
★社会保険・雇用保険は現状通り。
⇒ 共済加入について、民営化後も「国家公務員共済」となることになっており、
国家公務員共済は「臨時に採用される者は含まない」とされ、民営化後も共済
加入できない可能性大。
★災害補償 ⇒ 公務災害ではなくなり、労災保険の適用となる(保険料会社負担)。
★新たな社員区分を検討
⇒ 国家公務員法が適用されなくなり、会社独自で社員区分を決めることができる。
(現時点では、具体的内容まったく不明)
→より階層化され細分化された社員区分も可能となり、新たな差別と分断の
区分も可能となる。
→逆に、可能性としては、ゆうメイト雇用条件に有利な見直しも可能となる。
8 民営化で雇用関係に大きな違いが出てきます
★雇用関係の変化
☆日々雇用はなくなる。
☆年度を超える雇用の禁止もなくなる。(必ず3月末退職はなくなる)
☆「期間の定めのない契約」「期間の定めのある契約」のどちらの契約も可能となる。
⇒ 現在の状況から「期間の定めのある契約」(有期労働契約)となる可能性が大。
⇒ 期間の定めは原則として3年以上はできない(更新は可能)。
→契約時に、更新する場合があるのか無いのかを明示する必要あり。
☆労働基準法の解雇制限が当然適用
「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められな
い場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。
9 パートタイム労働法及び指針が完全に適用されます
★労働条件通知書の交付 ⇒ 更新の有無を明示・更新の有無の判断基準の明示
★契約期間の配慮 ⇒ 有期労働契約(1回以上更新、1年以上継続)を更新する
場合、契約期間をできる限り長く(努力義務)。
★就業規則の作成(ゆうメイトに関する)
★育児・介護休暇の取得可能(雇用期間1年以上)
★解雇予告 ⇒ 雇用期間の定めのない労働者→30日前予告
★雇止め予告・理由の開示(有期労働契約)
☆雇止め予告 → 30日前予告(1年以上の勤務)
☆理由の開示 → 予告の時に更新しない理由の証明書を請求できる
→当局遅滞なく交付の義務。
☆退職時の証明 → 退職時の証明書を請求できる。
※現在郵政公社も行っています、定期健康診断、深夜労働の特別健康診断、労働
条件の通知、等は当然継続
★正規職員との均衡処遇等 ⇒ 今後の重要な課題になる。
⇒ 残念ながら「努力義務」
☆高年齢者の短時間労働の促進
☆通常の労働者への応募機会の付与
⇒通常の労働者を募集しようとするときは、現に雇用する短時間労働者(ゆうメ
イト)にあらかじめ募集する旨を周知するとともに、希望者に優先的に応募機
会を与えるように努める。
☆通常の労働者への転換に関する条件の整備
⇒通常の労働者への転換について、これを希望し、かつ、その能力を有する短時
間労働者のニーズが自らのニーズに合致する場合において、当該事業所の実情
に即して、これが可能となる制度の導入、必要な条件の整備等をするよう努め
るものとする。
☆所定労働時間が通常の労働者とほとんど同じ労働者の取扱い
⇒所定労働時間がほとんど同じ短時間労働者のうち通常の労働者と同様の就業実
態にあるにもかかわらず、労働条件その他の処遇について通常の労働者と区別
して取り扱われているものについては、通常の労働者としてふさわしい処遇を
するよう努めるものとする。
→「ほとんど同じの意味」⇒勤務時間が1割から2割短い労働者
→「処遇の決定方法を合わせる」⇒同じ賃金表を適用する、支給基準、
査定・効果基準、支払い形態などを合わせる。
※現在集配外務で進められている「受箱配達」について、民営化も展望し、「均
衡処遇義務」を回避する逃げ道として導入されてきている側面も考えられる。
それを許さない取り組みの強化が必要。
以上、ゆうメイトの置かれている現状と民営化後のゆうメイトの処遇等について簡単に
提起しました。
郵政公社は、民営化後を想定した施策を現在も進めています。
民営化の問題点は別として、民営化になりますと、国家公務員の身分はなくなり、事業
的にも多くの規制は取り除かれることになっていきます。そのことは、法律の枠はありつ
つ、基本的に会社と労働者の力関係で労働条件や雇用のあり方等が決定されることになる
ということです。それ故、私たちの力が弱いと会社の思うがままになることを意味します。
パートタイム労働法の均衡処遇も、会社の「努力義務」になっています。これを実行さ
せていくのは私たちの団結の力です。
全国のゆうメイトが横のつながりを深め、正規労働者との連携を強めながら、雇用と労
働条件の確保・改善に向けがんばりましょう。
「講演」としてゆうメイト全国交流会の事務局・稲岡より「民営・分社化とゆうメイト」と題して、ホームページの「意見交換の広場」に寄せられた全国からのゆうメイトの意見を踏まえ、現在ゆうメイトが置かれている実態、民営化を迎えるにあたり、現在民間会社における非正規労働者の置かれている状況、民営化に向けてのゆうメイト雇用の公社スケジュール、そして、民営化に向けて求めなければならない課題として、無条件・完全なゆうメイトの雇用継続、苦情処理制度を有効に活用した管理者の恣意的判断に基づくスキル評価追及の必要性、等について提起しました。
また、民営化後のゆうメイトの労働条件、とりわけ雇用条件の変化について提起し、「パートタイム労働法」が完全に適用になるなど、ある意味ではゆうメイトにとって有利な側面も出てきますが、新たな職員区分が検討されるなど、現在よりより一層のゆうメイト間格差が拡大される可能性もあり、注意が必要であるとともに、「パートタイムタイム労働法指針」で企業に求められています非正規労働者の正規職員との「均衡処遇」について、あくまでも「努力義務」とされており、現在「パートタイム労働法」が適用されています民間会社においても、正社員への登用制度が整備されているのは全企業の26.7%にしか過ぎず、この「努力義務」を完全に実施させていくためにも、正規・非正規労働者の連携を深め、団結の力で共に撃つ取り組みを進めていくことの重要性を提起しました。
「講演」内容については、当日の資料として配布しました下記の「交流会レジュメ」を参照ください。
なお、交流会ではスクリーンを使い、厚生労働省及び労働政策研究・研修機構が発表しています非正規労働者の実態調査報告を参考にし、現在の非正規雇用労働者の実態報告を簡単に行いました。
参考資料としてPDFファイルとしていますので、非正規雇用の置かれている厳しい実態の一つの資料としてご覧ください。
(資料はこちらをクリックください)